研究概要 |
(nonsense-mediated mRNA decay)により分解されるmRNAの制御因子をそのmRNA-Protein(mRNP)複合体を培養細胞からの分離精製を通じて明らかとすると同時にmRNAを可視化することにより解析するとことを目的とし解析を行い以下に列挙する成果を得た。 a)mRNP複合体精製,可視化システムの開発 mRNP複合体精製のため5つのBoxB配列をbeta-globinの3'UTRに持つレポーターを作成した。さらに,BoxB配列に結合するNペプチドにSBP(ストレプトアビジン結合ペプチド),Flag epitopeおよびGSTの3種のタンパク質精製に使われるアフィニティータグを付与したmRNP複合体精製タグを作成した。実際にストレプトアビジンカラムもしくはグルタチオンセファロースカラムによりmRNPを精製出来ることを既知のmRNP複合体構成因子の存在をウェスタンブロット法により解析し確認した。さらに,mRNAの局在を確認するため精製タグにmCherry-NLSを組み込んだ。 b)誘導発現システムを用いた転写後のmRNA動態とmRNP複合体の解析 遺伝子発現は,転写,スプライシングなどによるmRNA前駆体の成熟,mRNA輸送,翻訳制御,mRNA分解といった様々な制御を受けている。転写後のmRNA局在を解析するためには,ごく短時間の転写による,均一なmRNAを分析する必要がある。また,レポーターの発現量を一定以下に押さえることが,より生理的な条件下でのmRNA局在の実態をつかむ上で重要である。そこで,a)で作製検証したレポーターをTetシステム(テトラサイクリンによる誘導発現系)に導入し,短時間の一過的発現を可能とするベクターを作成した。さらに,invitrogen社のFlp-In systemによる安定発現株の作製に用いるFRTをベクター中に組み込んだ。
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