昨年度までのスクリーニングによって同定された複数の遺伝子について、まずそれらの全長cDNAを単離し、各々のN末端にHAタグを付加後、培養上皮細胞に恒常的に発現させ、細胞内局在を検討した。その結果、解析した全クローン中の約60%の遺伝子は細胞接着領域に明確な局在を示すことが明らかになった。そこでこれらの分子の部分配列に対する特異的抗体(ウサギポリクローナル抗体)を作成し、内在性分子の細胞内局在の同定を試みた。しかしながら全体の約80%の分子に対しては内在性分子を有為に認識する抗体が得られず、これらについては現在新たな抗原部位をデザインし直し、再度免疫を試みる予定である。一方、抗体が得られた分子については、それらを用いた免疫染色によって、各分子のcDNA発現細胞株で得られた結果と同様、対応する内在性分子もまた細胞接着領域へ強く局在することが確認された。そこで現在、これらの分子の機能を明らかにするために、各分子に対するRNAiの配列をデザインし、その効果を得られた抗体を用いて検討している。今後有効なRNAi配列が得られたら、それらを用いて各分子の上皮細胞における機能の解析を精力的に進めていく予定である。
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