研究概要 |
細胞の中で合成されたタンパク質や細胞の外から取り込まれたタンパク質の輸送は輸送小胞を介して行われている。低分子量GTPase ADP ribosylation factor(ARF)は輸送小胞形成のスイッチの役割を担う分子である。本研究ではARFファミリーのうち、ARF-related protein 1(ARFRP1)やARF-like protein 1(ARL1)の制御機構を明らかにすることを目的としている。本研究ではARFRPIやARL1をRNAi法によるノックダウンすることに成功し、それぞれ特異的な機能を発揮していることを見出した。つまり、ARFRP1はタンパク質のゴルジ体から細胞膜への順行輸送に、ARL1はエンドソームからゴルジ体への逆行輸送を制御していることを明らかにした。さちにArl1は小胞輸送の過程で融合に必須であるSNARE分子群のうち、特異的なSNARE(Syntaxin6, Syntaxin16, Vtila)を調節するにとでその逆行輸送を制御していることを明らかにした。 さちに、酵母2-hybridスクリーニング法により活性型のARL1と結合する様々なタンパク質の同定に成功した。そのなかには、小胞輸送の過程で重要な役割を果たす膜の変形にかかわるタンパク質(Arfaptin)が含まれていた、このArfaptinやARL1の動態をTime Lapse Imaging法により解析したところ礼ARL1がゴルジ体からの順行輸送にも関わっていることを見出した。このように、低分子量GTPaseは様々なeffectorを制御することで多様な輸送経路を制御していることが分かる。低分子量GTPaseとそのeffectorの時間的、空間的機能を明らかにすることは、複雑な生命現象を理解するにとに、大いに寄与すると考えている。
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