前年度までにミトコンドリア(以下Mt)外膜のポリトピック蛋白質のモデル蛋白質として末梢型ベンゾゼアゼピン受容体PBR(Mt外膜5回膜貫通蛋白質)の輸送機構を生化学的に解析するため半透過性細胞(セミインタクト細胞)を用いた試験管内輸送反応系を立ち上げた。PBRの輸送に関して外膜Tom70が機能することを明らかにした。またその他のMt外膜ポリトピック蛋白質(Mfn2 : 2回膜貫通、MITOL : 4回膜貫通)についても調べたところPBRと同様の結果が得られたことからTom70がMt外膜ポリトピック蛋白質全般の外膜受容体として機能する可能性を示した。さらに輸送機構に関連して以下のことを明らかにした。(1) エネルギー要求性について調べたところPBRのMt外膜標的化以降の過程にATP加水分解エネルギーが必要であること、(2) 明確な輸送中間複合体を形成せず膜標的化後は速やかに膜内配向性を形成することを明らかにした。以上、全く解明されていなかったMt外膜ポリトピック蛋白質輸送機構について新しい知見を得ることができた。今年度は外膜輸送装置複合体構成因子であるTom20の分解がユビキチンープロテアソーム経路に依存すること、さらにその分解抑制が細胞の生存に重要であることを見出した。
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