研究概要 |
染色体分配のメカニズムは、分配過程に関わる多くの分子の分子生物学的な同定や、細胞生物学的な観察に基づき分子機能の予測を中心に研究されてきた。本研究では、生物物理学的手法を用いて、マクロな紡錘体や染色体における力の作用から、ミクロな分子内、分子間の力の機能を時間的・空間的に明らかにすることによって、染色体分配機構における"力"の本質を解明することを目的としている。 今年度は、ガラス微小針やピエゾ抵抗カンチレバ-を用いて、アフリカツメガエル卵抽出液中で形成させた中期紡錘体に様々な力学的負荷をかけた時の紡錘体の応答について、検討した。以下に、その結果を箇条書きにする。 (1)紡錘体の極間軸方向の力学特性 ピエゾ抵抗カンチレバーを用い、紡錘体の極間軸方向に、紡錘体を圧縮させることによって、紡錘体の力学的性質(硬さ、弾性変形、塑性変形、粘弾性的性質)についての知見と昨年度の結果と合わせて、論文及び学会にて発表した(ltabashi, et.al., Nature Methods, 2009)! (2)力学的顕微操作時の紡錘体の応答ダイナミクスの解析 力学的顕微操作のみによって、紡錘体のサイズを変化させることができるという昨年度の発見について、そのサイズ変化時における微小管のダイナミクス変化(微小管量、紡錘体極方向への微小管の流れの速度変化等)を定量的に解析した。また、極方向やそれに直交する方向へなど、さまざまな顕微操作を行い、その時の紡錘体の応答を網羅的に精査している!
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