ゴルジ体は、新たに合成されたタンパク質の修飾、選別、輸送の中心的な役割を担う細胞内小器官(オルガネラ)である。ゴルジ体の形態は扁平膜積層構造という非常に特徴的な構造であり、その高次構造がゴルジ体の機能と密接に関連していると考えられている。オルガネラがどのように構築され、維持されているかを明らかにする事は、オルガネラの機能を知る上で必要不可欠な事であり、ゴルジ体高次構造の形成機構の解明は、ゴルジ体の機能を理解する上で重要な知見を与えるものである。 本研究は、ゴルジ体形成必須因子であるVCIP135に着目し、VCIP135の脱ユビキチン活性の制御機構を明らかにする事により、ゴルジ体形態形成の分子機構を明らかにする事を目的として研究をおこなった。VCIP135の結合タンパク質を探索したところ、新規タンパク質、p87を同定することに成功した。そのp87の機能を検討したところ、in vitroにおいて、p87がVCIP135のもつ脱ユビキチン酵素活性を活性化させる、という非常に興味深い結果を得た。また、免疫染色法を用いて、p87がゴルジ体に主に局在することを明らかにした。RNAi法を用いてp87のノックアウトした実験から、p87がゴルジ体形成に必須因子として働くことをあわせて明らかにした。これらの結果から、新規に同定したVCIP135結合タンパク質、p87がゴルジ体形成において重要な役割を果たしていることが示された。現在、p87のゴルジ体における機能を詳細に検討している。
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