Xenopus tropicalisの始原生殖細胞(PGC)の単離についての検討を行った。実験動物としては、2倍体であり性成熟までの期間が短いXenopus tropicalisを用い、そのなかでも、以後の研究応用性を考え、ゲノムプロジェクトに供された系統であるNigerian系統を用いた。PGC(始原生殖細胞)の単離に先立ち、Xenopus laevisで報告されている胚のPGCの追跡方法を採用し、胚のPGCのマーキングを行った。Xenopus tropicalisの生殖細胞質蛋白質であるDEADSouthの遺伝子の3'UTRを蛍光蛋白質GFP遺伝子のコーディング領域につないだ融合mRNAを作製し、受精直後の植物極側にマイクロインジェクションすることでPGCを蛍光標識することを試みた。その結果、tropicalis後期胚で生殖原器近傍でGFPの蛍光が確認されることがわかった。この方法を用いて標識した後、生殖原器を含む組織を切り出して初代培養を行い、蛍光標識を指標に、EG細胞(胚性生殖細胞)としての株化を目指して、培養方法の検討を行った。 また、一方で生体への移植を視野に入れ、Xenopus tropicalisにおいてどれだけ近交化が進んでいるかを調べるために、系統間での交換移植を行った。現在もっとも同系交配が進んでいるNigerian系を含む3系統について調べたが、どの系統についても組織交換移植に耐えるほど、近交系ではないことがわかった。
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