研究概要 |
本年度は、近年急速に技術が発展しているiPS細胞(Induced pluripotent stem cells ; 人工多能性幹細胞)作製の手法も取り入れて、未分化細胞樹立の検討を行った。iPS細胞化を引き起こす因子として、哺乳類の知見からSox2, Oct3/4, Klf4, c-Mycの4因子を選択した。ツメガエル胚でこれらの4因子のオーソログのすべてが同定されているわけではないが、まず始めに文献情報よりホモログで機能も似ていると考えられるSox2, Sox3, Oct60, Klf4, c-Mycの5因子を検討した。ツメガエル胚へ、確実に一度に複数の因子が導入できる方法として、マイクロインジェクション法を用いて遺伝子導入を行った。実験動物としては研究に広く用いられており、Xenopus tropicalisよりも扱いやすいXenopus laevisを用いて、tropicalisでの実験に先立って条件検討を行った。5因子を導入した胚は、胞胚期で細胞を解離して播種し、樹立培養を試みた。 その一方で、初代培養ツメガエル細胞に、ウイルスベクターを用いて、リプログラミング機能が分かっているヒトのSox2, Oct3/4, Klf4, c-Mycの4因子の遺伝子導入も行った。まず感染効率およびタンパク質発現効率のコントロールにGFP遺伝子を用いて、カエル細胞でのウイルスベクターの効率を検討した。この結果から高い導入効率になる条件を用いて4因子の遺伝子導入を行い、培養・継代をすることで未分化細胞樹立を試みた。
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