本研究では、棘皮動物のウニの幼生が、変態が近づくにつれ、左右対称から左右非対称に成体形質を構築していく現象に注目し、幼生体内において、どのように左右非対称性が確立していくのかについて、主に実験発生学的手法を用いて、以下の(1)~(6)の観点から、複数種のウニ類を用いて明らかにしていくことを目的としている。(1)幼生の左右非対称性確立に対する割球の影響を、割球除去実験により解析する、(2)ウニ幼生の左右非対称性の確立に影響をもたらすことで知られている既知の薬剤の山口県沿岸で採集可能なウニに対する影響を網羅的に解析する、(3)上記のウニの種を用いて、左右非対称性確立機構に関与することで知られているnodal遺伝子の単離を行う、(4)nodal遺伝子の時間的・空間的発現パターンに関する種の多様性について解析する、(5)nodal遺伝子の翻訳阻害の影響を調べることにより、nodal遺伝子の機能の多様性について解析する、及び(6)ウニの系統間における左右非対称性確立機構について考察を行う。
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