本申請研究では、ソバにおけるゲノム情報を利用した付加価値の高い品種の短期育成体系の確立を目指す。これまでに申請者は、カナダ・ケイド研究所と共同で本来他殖であるソバに自殖性を導入した多数の系統を保持している。また、ゲノム研究に必須なBACライブラリーや発現遺伝子ライブラリーの整備も進めている。申請研究ではこれらの資源と豊富なソバ植物遺伝資源を活用すべく、有用育種形質の生理的あるいは遺伝的評価を実施するための標準実験モデル系統と遺伝解析集団の開発を行う。具体的には、ソバ自殖系統に見出された極矮性系統を実験モデル系統として用いるべく矮性化原因を分子レベルで特定する。さらに、本系統と適度な遺伝距離を示す自殖系統とのF2育成も進めており、本世代においてDNA連鎖地図を作成する。DNAマーカーには、京都大学より譲渡して頂いたSSRマーカーとAFLPマーカーを用い基本連鎖地図を作成し、新たに発現遺伝子に由来するSNPマーカーを開発する。作成した連鎖地図をソバ染色体への関連付けを行う。最終的には、F2各個体から自殖種子を採取することで染色体のほぼ全体がホモ化した組換自殖系統の作成し遺伝解析のための研究基盤構築を目指す。
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