チャのカフェイン含有量を決定する遺伝的メカニズムの解明を目指して、今年度は以下の研究を行った。 1)カフェイン合成酵素遺伝子近傍領域のゲノム遺伝子型解析 カフェイン合成酵素遺伝子TCS1およびTCS2が、DNAマーカーの連鎖地図上にマッピングできたので、その近傍に座乗するSSRマーカーを使って、平成19年度交配したきょうだい交配個体群の各個体について、ゲノム遺伝子型解析を行った。結果、カフェインレスの個体はTCS近傍領域がタリエンシス型のホモ接合で、チャ型のホモ接合個体やヘテロ型個体はカフェインを含むことが示され、「タリエンシス赤芽」由来のTCS近傍領域がカフェインレス形質の原因遺伝子であると示唆された。 2)茶中間母本後代個体の遺伝型調査および成分分析 TCS近傍領域が、カフェインレス形質と関連性があると示唆する結果が得られたので、交配により得られていた個体について、TCS近傍領域のゲノム型の調査を行った。「中間母本農6号」の後代で、「タリエンシス赤芽」由来のゲノムを持つものは、さらに次世代を育成するための母本として選抜した。また、きょうだい交配個体群の中からは、新たなカフェインレスの個体も検出した。
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