RSISによって作出した種子貯蔵タンパク質低減系統ではそれぞれサイレンシングのターゲット遺伝子の顕著な抑制が観察された。また、グルテリンを低減することで、cys-poorプロラミンが顕著に増加することを前年度に報告したが、遺伝子発現レベルでもそのような補償効果が見られた。これらの種子貯蔵タンパク質低減系統の種子形質(タンパク含量、澱粉含量、形態)はほぼ野生型と同等であった。遊離アミノ酸、総アミノ酸含量をHPLCで定量した結果、いずれの系統においても、多少の変動はあるが、全体的なアミノ酸バランスに変化は見られなかった。しかし、13kD Prolessでは総リジン含量が野生型の約1.56倍に増加していた。これは、リジン含量が少ない13kDプロラミンが低減された補償効果として、リジン含量が多いグルテリンが増加したことが原因であると考えられる。 内胚乳で発現する新規のグノレテリンGluD-1遺伝子のプロモーター解析を行い、内胚乳での発現には0.2kbプロモーターで充分であることを明らかにした。また、種子貯蔵タンパク質遺伝子の主要な転写因子であると考えられるbZIP型転写因子RISBZ1およびDOF型転写因子RPBFが結合するcis-エレメントをEMSAおよびプロトプラストを用いたトランジェントアッセイで同定した。また、胚乳内での組織特異的発現パターンが、RISBZ1が認識するGCN4モチーフ内の配列に大きく依存している可能性が示された。 種子貯蔵タンパク質遺伝子の発現制御に関与するbZIP型転写因子であるRISBZ1とDOF型転写因子であるRPBFのノックダウン系統を解析した。
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