研究課題
in vivoで種子貯蔵タンパク質遺伝子の発現制御に関与するRISBZ1およびRPBFのin plantaにおける機能を明らかにするため、ノックダウン(KD)系統を作出・解析した(それぞれKD-RISBZ1, KD-RPBF)。ダブルKDでのみ種子貯蔵タンパク質含量が顕著に減少したため(mRNAレベル、タンパク質レベルで)、RISBZ1とRPBFが冗長的に直接種子貯蔵タンパク質遺伝子発現を制御していることが明らかとなった。他の主要貯蔵物質であるデンプン、脂質含量についてもKD系統で減少が観察されたが、それらの代謝酵素遺伝子発現はそれほど変動していなかった。したがってデンプン、脂質含量はRISBZ1およびRPBFによって間接的に制御されていることが明らかとなった。KD系統では貯蔵物質の減少だけではなく、外観品質の劣化が観察され、RISBZ1およびRPBFが単なる種子貯蔵タンパク質遺伝子の制御因子ではなく、イネ胚乳品質の制御因子であることが明らかになった。興味深いことに、KD-RISBZ1ではRPBFタンパク質が、KD-RPBFではRISBZ1タンパク質の蓄積量が登熟後期に増加しており、お互いの減少をタンパク質蓄積レベルで補償しあっていた(補償効果)。一方で、RISBZ1とRPBFが共にプロトプラスト核内に局在し、複合体を形成することが明らかになった。プロトプラストを用いた一過的レポーターアッセイにより、RISBZ1およびRPBFは相乗的に種子貯蔵タンパク質遺伝子発現を正に制御することをすでに明らかとしていたが、この相乗効果は複合体の形成によって生じると考えられた(相互作用)。イネ種子登熟過程のホメオスタシスはRISBZ1とRPBFの補償効果によって維持され、相互作用によって強固になっていると考えられる。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)
The Plant Journal 58
ページ: 1028-1040
Plant and Cell Physiology 50
ページ: 1532-1543
The Plant Journal 59
ページ: 908-920
Biotechnology Letters 31
ページ: 1625-1631