地球温暖化が引き起こす、休眠打破の不良や不時開花などの問題解決を目的に新規技術「ジョィント整枝法を応用し、落葉果樹における自発休眠覚醒の制御機構に関して既存の方法とは裏なったアプローチを試みた。 休眠打破剤(シアナミド)による休眠打破への影響について、直接処理を行う樹に加え、ジョイント仕立てにより、隣接樹と養水分の通導が行われる連結された樹体に及ぼされるについて調査を行った。 昨年度は、約80%の自発休眠打破に必要な休眠要求量を与えた、温室内萌芽を促進させたが、本年度はジョイント整枝法により連結されたニホンナシ'幸水'ポット植え樹に対し、自然条件下で必要とされる休眠要求量を十分に与えた実験樹を用いて、休眠打破剤(シアナミド剤)による処理を行った。前年に2連、および3連に接ぎ木を行い連結したジョイント樹のうち、2連のユニットに関しては先端または基部側の樹体にのみに、3連のユニットについては中間の樹体にのみ休眠打破処理を行った。 休眠打破剤の処理を行った樹においては、対照区に比べ明らかに萌芽が促進されており、その効果は昨年度と同様に花芽において顕著であった。基部樹のみに打破剤を処理したユニットにおいて、直接は打破処理を行っていない同-ユニットの連結された先端樹の花芽の萌芽が、対照区のユニットの先端樹に比べ促進する傾向があり、萌芽促進に関して隣接樹から連結された樹への影響が認められた。しかし前年度においてはむしろ先端部から基部樹への方向により強く処理の効果が及ぼされていたため、連結の影響が伝達しやすい方向性やその影響の大小は、必ずしも一定方向ではないことが示された。この点については、実験年によって傾向が異なり、また接ぎ木部における樹体や維管束のつながり度合いの相違等の影響も考えられ、さらに今後解析を進めたい。
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