研究概要 |
本年度に得られた成果は以下の通りである. 1, アサガオの老化花弁で発現量が増加する膜タンパク質をコードした老化関連遺伝子(InPSR26)について, RNAi法により遺伝子発現を抑制したアサガオ形質転換体を作出し, T_1世代の植物体について解析を行った. その結果, InPSR26の発現抑制が花弁の萎れやプログラム細胞死を促進し, オートファジーを抑制することを確認した. これらの結果から, InPSR26が老化花弁に生じるオートファジーを促進し, プログラム細胞死を抑制する機能を果たしていることが示唆された. 2, 動物細胞のプログラム細胞死に関わる遺伝子のホモログをアサガオで同定し, 花弁における発現解析を試みた. その結果, プログラム細胞死の一形態であるアポトーシスまたはオートファジーに関与するタンパク質(BI-1, caspase, AIF, VPS34, ATG4, ATG8)をコードした遺伝子のホモログを同定し, それらの発現量がアサガオの花弁で老化に伴い増加することを確認した. これらのホモログは花弁の老化に深く関与することが示唆される. 現在, RNAi法によりホモログの発現を抑制したアサガオ形質転換体を作出し, 機能解析を試みている. 3, アサガオの老化花弁で発現量が増加する膜タンパク質をコードした老化関連遺伝子(InPSR29)および液胞プロセシング酵素遺伝子(InVPE)について, RNAi法により遺伝子発現を抑制したアサガオ形質転換体を作出し, T_1世代の植物体について解析を行った. その結果, InPSR29の発現抑制により花弁の萎れが促進されることを確認した. また, InVPEについても, その発現抑制が花弁の萎れを促進することを示唆する結果を得ている. 現在, InPSR29やInVPEの発現抑制が老化花弁に生じるプログラム細胞死やオートファジーに及ぼす影響を調査している.
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