研究概要 |
本年度に得られた成果は以下の通りである. 1, アサガオの老化花弁で発現量が増加する液胞プロセシング酵素遺伝子(In VPE)について,RNAi法により遺伝子発現を抑制したアサガオ形質転換体を作出し,T_2世代の植物体について解析を行った.その結果,T_1世代で認められていた可視的な花弁老化の抑制がT_2世代では見られず,In VPEが可視的な花弁老化の誘導に関与していない可能性が示唆された. 2, アサガオの老化花弁で発現量が増加する14-3-3タンパク質をコードした老化関連遺伝子(InPSR42)についてORNAi法により遺伝子発現を抑制したアサガオ形質転換体を作出し,T_1世代の植物体について解析を行った.その結果,InPSR42の発現抑制により可視的な花弁老化は影響を受けないことを確認した.現在,InPSR42の発現抑制がアサガオの老化花弁に生じるプログラム細胞死やオートファジーに及ぼす影響を調査している. 3, アサガオ形質転換体が示す可視的な花弁老化の計測を効率化するため,色情報(平均色差)を使った新たな領域抽出法を考案し,その手法による領域抽出とその後の面積計測を連続的に実行できる領域抽出ソフトウエアを開発した.従来法との比較から,考案した手法は,被写体や背景の色が複雑な画像でも,植物器官の領域抽出を効率よく,正確に実行できることを明らかにした.また,開発したソフトウエアは,画像ファイルの選択や計測データの記録が自動化され,作業効率が大幅に改善されている.
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