本研究では、本研究期間(平成19~21年)内に、リモートセンシングを活用しモンスーンアジア地域の当該都市における現地気象データを調査し、諸都市のヒートアイランドの緩和に資する緑地計画の評価手法を明らかにすることとしている。 平成20年度ではバンコクにおける気象観測調査を「衛星データによるタイバンコク周辺におけるヒートアイランド現象の状況把握」としてとりまとめ東南アジア国際農学会(ISSAAS)日本支部会にての口頭発表を行ったが、その際課題となっていた緑地効果の強弱に関してデルタ地帯の地形的影響などが考えられたため、バンコクと同様な地形的特徴をもつアジア地域の諸都市でのケーススタディ研究が必要であるとしていた。 そこで平成21年度は再度バンコクでの調査を予定していたが、新型インフルエンザによる海外渡航禁止の影響で夏調査を行うことができなかった。そのため低地部の多い大阪市と東京の臨海低地部を対象として気温観測調査を行い、ヒートアイランドの特徴を考察した。その結果緑地による気温低減効果だけでなく海風の影響があること、地形的要因による気温の違いが明らかになり、緑地のヒートアイランド緩和効果を大きくするには斜面上の緑地、風の道となる河川沿いの緑地を確保することが重要であることがわかった。
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