低コストで開発された産業用冷蔵装置の使用用途として農産物の品質向上に応用する取り組みを地域と共同で新たに研究を開始した。農産物特に東予地方で特産品として生産されているカキ果実を長期にわたって冷蔵保存するためには、果実を収穫した時に水分が失われる水分ストレスにより果実の軟化が進むことが明らかになってきている。また、エチレンレセプターに作用する1-MCPというポストハーベストを使用することにより、収穫後の果実軟化を防ぐ技術が開発されてきているが、アンポカキなどに食品加工すると果実の食味が悪くなることが見出され、食品加工するための果実には長期間保存するために1-MCPを使用することは不向きであることが生化学的に明らかになった。 本年度は果実を長期間保存するための保存最適方法を見出した。その結果5月上旬まで安定的に果実を保存する方法を確立した。さらに長期間保存することにより果実内の生化学的変化を分子生物学的指標を用いて解明することにより、果実の保存方法の新たな可能性を示せることが可能となった。 今後は産業用に開発された水素吸蔵合金特定温度領域冷蔵庫を用いて長期間にわたって果実を安定的に保存できる方法、強いては渋カキの渋を安定的に保存できる方法を開発する。さらに食品加工による高付加価値生産のための基礎的データを分子生物学的手法により解明し、時間的優位差をも利用した特色ある食品コンビナートを構築する。
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