研究概要 |
硬肉のモモは、成熟に伴い溶質のモモと同様な果皮色の変化や糖度の上昇等が認められるが、エチレン生成の上昇や果肉硬度の急激な低下は見られない。これまでの解析から硬肉のモモではACC合成酵素アイソジーンの一つであるPpACS1の発現が果実成熟期に抑制されているため、成熟期に達してもエチレン生成が起こらず軟化しないことが明らかになっており、また、果実成熟時期特異的にPpACS1の発現が抑制されている原因箇所は、転写因子より上流に変異が生じていると推測されている。そこで、本年度は成熟期特異的にPpACS1の発現を制御する因子を探索するため、マイクロアレイを用いた網羅的解析を行った。最初に、マイクロアレイを作製するために、モモのESTデータベースGDR(Genome Database for Rutaceae)を利用してプローブの設計を行った。マイクロアレイ解析で用いるサンプルを選定するために、溶質のモモ'あかつき'果実の収穫適期前後の果実について、エチレン生成量を調査した。エチレン生成量について7月7,10日に収穫した果実ではガスクロの検出限界以下であったが、13日に収穫した果実において、わずかに検出され、19日を期に急激に増加した。そこで、PpACS1の発現を制御する因子を探索するために、その発現量が増加する前後として、7月7日、13日、19日、22日の溶質モモ果実から抽出したRNAを用いた。更に、PpACS1が発現している溶質品種と比較するために、PpACS1の発現が抑制されている硬肉モモ品種'まなみ'、'おどろき'、'有明'の成熟果実から抽出したRNAを用い、マイクロアレイ解析を行った。
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