昨年度はTARFがTMVの感染に対して阻害的に働く因子であることを示した。今年度はagroinfiltration法による-過的発現系を用いてこの現象の検証を行うと共に、ウイルス感染時におけるTARF遺伝子の発現誘導を解析した。 まず、agroinflitrationにより、Nicotiana benthamianaにおいて-過的にTARF遺伝子を発現上昇させた。バイナリーベクターにTARF遺伝子を導入し、agrobacteriumに形質転換した後に、N.benthamianaにinfi-trationしてTARF遺伝子を-過的に発現上昇させ、ノーザン解析によりTARF遺伝子の発現上昇を確認した。TARF遺伝子の発現上昇が検出された組織にTMVを接種した。ノーザン解析により、TMVRNA蓄積量を調べたところ、TARFの発現上昇に伴いTMV RNAの蓄積量が減少することが明らかになった。 次いで、タバコにTMVを接種し、TARF遺伝子の発現量をノーザン解析およびリアルタイムPGRにより経時的に調べた。その結果、TARFはTMV接種後短時間(4時間程度)で発現が上昇することが明らかになった。 以上を要するに、今年度はTARFはTMVの感染に伴い発現誘導を受けることを明らかにし、TARFの発現上昇によりTMVの増殖が抑制されることを明らかにした。これらの結果は昨年度の結果と同じくTARFがTMVの感染に対して阻害的に働く因子であることを示しており、本研究を通じてTARFがウイルス抵抗性に関わる新たな因子であることを示した。
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