(1) バイオインフォマティクスの手法を利用したエフェクター候補遺伝子の選抜 アブラナ科野菜類炭疽病菌の感染器官分化時のEST解析によって得られている800個の遺伝子情報より、バイオインフォマティクスの手法により、個々の遺伝子のコードするタンパク質の構造予測を行い、感染器官から植物細胞への分泌が予想されるものを病原性関連遺伝子の候補として選抜した。その結果、49個の候補遺伝子の選抜に成功した。現在これら49個の候補遺伝子について、昨年度までに確立したハイスループットな遺伝子破壊作出実験系を利用した特異的遺伝子破壊株の作出を進めている。 (2) ランダム遺伝子挿入破壊を利用した病原性関連遺伝子の探索 アグロバクテリウムの遺伝子導入能を利用した形質転換により、アブラナ科野菜類炭疽病菌ゲノムへのランダムなT-DNA挿入を行い、1256株の形質転換体を作出した。それら形質転換体について、病原性および感染器官形成能に基づくスクリーニングを行った結果、感染器官形成が正常であるにも関わらず病原性の低下が認められる変異株が7株得られた。これらを宿主植物との相互作用に関与する遺伝子に欠損を持つ変異株と予想し、そのT-DNA挿入部隣接領域の塩基配列を解析した。その結果、3株について既知遺伝子との相同性が認められた。残りの4株については相同性は認められなかったものの、タンパク質コード領域への挿入が確認された。現在、T-DNA挿入と病原性変異の関連について調べている。
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