研究概要 |
(公表は差し控えてください) 既に開発しているイネ苗を用いた生物試験を基にして、セジロウンカからイネに対するBenzvl benzoate誘導を引き起こすエリシターの単離・同定を試みた。セジロウンカ成虫の磨砕物の水縣濁液を遠心分離し得られた上清をヘキサン、酢酸エチル、水飽和ブタノールで液-液分配分画すると活性は水層に回収された。これをシリカゲルカラムを用いて6画分(10%E/H, 50%E/H, EtOAc, 50%E/M, MeOH)に分画すると全ての画分に1/10-1/50に低下した活性が確認された。このことから活性化合物は易分解性であり、分解後も活性を示すことが明らかになった。そこで新たなセジロウンカ成虫抽出液の水層をODSカラム30%MeOH-H2O画分、50%MeOH-H2O画分、70%MeOH-H2O画分、90%MeOH-H2O、100%MeOH画分に分画すると90%メタノール水溶液に活性が確認された。この画分を逆相系のHPLCにて保持時間に従い6画分に分画した。各画分を生物試験に供するとFr. Cに強い活性が、Fr. A及びFr. Dに弱い活性が確認され、濃縮操作などでもある程度分解することが判明した。最も活性の強いFr. CをさらにHPLCで分画し(Fr. C-a, Fr. C-b, Fr. C-c, Fr. C-d, Fr. C-e, Fr. C-f)、活性をFr. C-eに回収した。これをNMRで分析したところ、長鎖脂肪族由来と推定される多数のメチレン基および複数のメチル基の存在が確認されたものの、微量であることと夾雑物の存在からそれ以上の解析は不能であった。そこで、代表的な生体内長鎖脂肪族化合物である、脂肪酸、脂肪酸メチルエステル、トリアシルグリセロール、ジアシルグリセロールのBenzyl benzoate誘導活性を測定した。その結果いずれも弱いながらもエリシター活性が確認された。これらのことからエリシター活性本体は長鎖脂肪族誘導体と結論した。
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