研究課題
イネ(Oryza sativa L. cv Notohikari)においてRubiscoの小サブユニットをコードするOsRBCS2遺伝子をown promoterの制御下で過剰発現させることで成熟葉におけるRubisco量を増強した形質転換体を材料に、葉の老化に伴うRubisco量の変化、光合成特性の変化および個体生育を調べた。その結果、Rubisco量は成熟葉では形質転換体の方が約20%高かったものの、老化葉においては形質転換体と野生型との間に大きな差は認められなかった。Rubiscoの律速性が強まる強光、低CO_2分圧下での光合成速度には、全ての葉の生育ステージにおいて両genotypeの間に大きな差が認められなかった。葉の光合成速度とRubisco量との関係を調べたところ、成熟葉では形質転換体において単位Rubisco量あたりの光合成速度が野生型のそれと比べ低くなっていたが、老化葉では両genotypeの間に差は認められなかった。このときのRubiscoの活性化率を調べたところ、成熟葉では形質転換体の方が低くなっていたが、老化葉においては差がなくなっていた。このことは、成熟葉において形質転換体の光合成速度が高くならなかった原因の一つはRubiscoの不活性化であることを示している。また、生育調査および生長解析を行ったところ、個体生育の前期および後期ともに、両genotypeの間で差は認められなかった。以上の結果は、成熟葉においてRubisco量を増強したとしても、葉の光合成活性が老化過程を通じて高く保たれるわけではないこと、また、このために通常の環境下における生育が改善されるわけではないことを示している。
すべて 2008 2007
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件)
Annals of Botany 101
ページ: 135-144
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry 72(In press)
Plant and Cell Physiology 48
ページ: 626-637