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2007 年度 実績報告書

イネ科植物の鉄欠乏応答遺伝子発現制御に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19780048
研究機関東京大学

研究代表者

中西 啓仁  東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (80282698)

キーワード鉄 / ムギネ酸類 / 遺伝子発現 / 転写因子 / シスエレメント
研究概要

イネ科植物の鉄欠乏応答性のシスエレメントIDE1、IDE2に結合する転写因子の検索を行った。IDE1はこれまでに知られている転写因子の中でも植物特有の転写因子ファミリーABI3/VP1の未だ解析されていないサブグループに属し、IDE1内のCATGC配列に特異的に結合することが分かった。IDEF1を恒常的にタバコで高発現させると鉄欠乏の根でのみIDE1を介した発現が活性化された。さらに鉄欠乏応答性IDS2プロモーターの制御下でIDEF1を発現させた形質転換イネは、鉄欠乏水耕液での鉄欠乏クロロシスの進行が遅く、石灰質アルカリ土壌で良好な初期生育を見せた。この形質転換イネは鉄欠乏条件下での二価鉄トランスポーター遺伝子OsIRT1と鉄欠乏誘導性の転写因子OsIRO2の発現を促進させた。IDEF1は鉄欠乏応答に関与する多段階の遺伝子制御ネットワークの初期段階を担うことによって鉄欠乏耐性と耐性を制御することがわかった。イネの鉄欠乏誘導性bHLH型転写因子OsIRO2はムギネ酸類の生合成経路に関わる酵素遺伝子、鉄トランスポーター遺伝子の発現制御に必須である。このOsIRO2の過剰発現イネは非組換えイネに比べてムギネ酸類生合成経路の遺伝子の発現が高く、ムギネ酸類の分泌量も多かった。以上から、イネ科植物においては、鉄欠乏というシグナルが何らかの形で伝えられ、それを受け取って、まず、IDEF1の機能が活性化され、OsIRO2のような上流にIDE1を持つ遺伝子の発現が誘導させる。そして、OsIRO2によってムギネ酸類生合成に関わる遺伝子およびさらに下流の転写因子、鉄欠乏誘導性遺伝子の発現へとつながっていく遺伝子発現ネットワークが新たに明らかとなった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2007

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] The transcription factor IDEF1 regulates the response to and tolerance of iron deficiency in plants.2007

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi T, Ogo Y, Nakanishi Itai R, Nakanishi H, Takahashi M, Mori S, Nishizawa NK
    • 雑誌名

      Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA 104

      ページ: 19150-19155

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The rice bHLH protein OsIRO2 is an essential regulator of the genes involved in Fe uptake under Fe-deficient conditions2007

    • 著者名/発表者名
      Ogo Y, Nakanishi Itai R, Nakanishi H, Kobayashi T, Takahashi M, Mori S, Nishizawa NK
    • 雑誌名

      The Plant Journal 51

      ページ: 366-377

    • 査読あり
  • [学会発表] Regulation of iron-acquisition-related rice genes by novel iron-deficiency-responsive cis-acting elements, IDE1 and IDE22007

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi T, Nakayama Y, Yoshihara T, Suzuki M, Inoue H, Itai RN, Ogo Y, Takahashi M, Nakanishi H, Mori S, Nishizawa NK
    • 学会等名
      第5回イネ国際機能ゲノムミックスシンポ(5th ISRFG: The 5th International Symposium of Rice Functional Genomics)
    • 発表場所
      つくば
    • 年月日
      20071015-17
  • [学会発表] ムギネ酸類合成に関わる遺伝子群を制御する転写因子OsIRO2過剰発現イネは鉄欠乏耐性を示す2007

    • 著者名/発表者名
      小郷裕子、板井玲子、中西啓仁、小林高範、高橋美智子、森敏、西澤直子
    • 学会等名
      日本土壌肥料学会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20070822-24

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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