研究概要 |
Yersinia IntermediaによるStaphylococcus aureusのバイオフィルム形成抑制機構の解明を目的に研究を行った。検討の結果、Escherichia coli K-12株の培養上清もY. Intermedia培養上清と同様にS. aureusのバイオフィルム形成抑制活性を有することが明らかになったことから、最も遺伝学的解析が進んでいるE. coli K-12株を用いて検討を行うことが望ましいと考えた。しかしながら、Dose responsを詳細に検討したところ、Y. Intermedia培養上清の方が高い活性を有していたことから、Y. Intermedia培養上清中の活性物質を単離・精製することを目的として検討を行うこととした。 まず、以前の検討から、Y. Intermedia培養上清中の活性物質は分子量10,000以下であることが明らかになっていたことから、さらに限外ろ過を行い検討したところ、活性物質は分子量5,000以下の物質であることが強く推定された。そこで、限外ろ過サンプルをLC/MS/MS解析を行ったところ、幾つか特徴的なピークを観察することができ、また、それらの分子量を推定することが出来た。今後は、さらに詳細な検討を行いたい。 次に、E. coli K-12株のランダムトランスポゾン変異株ライブラリーのスクリーニングを行った。こちらの検討には、E. coli K-12株を用いることとした。トランスポゾンTn5を用い、約2万株のランダムトランスポゾン変異株ライブラリーを作製し、共培養時におけるS. aureusのバイオフィルム形成を抑制しない変異株のスクリーニングを行った。現在までに10,272株のスクリーニングを行ったものの、当該活性を有する株は得られていない。今後、更にスクリーニングを継続したいと考えている。
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