研究課題
Magnetospirillum sp.TS-6株という細菌の持つ、2つの異なる安息香酸代謝経路の調節メカニズムを調べることを通して、これまであまり正面から扱われることがなかった、自然界において環境中に酸素が十分に存在する(好気)条件と全くない(嫌気)条件のあいだ(微好気条件)における微生物の機能について調べている。20年度は、昨年度の研究で見出した、安息香酸代謝の鍵となる3つの酵素が酸素濃度に対して示す異なる発現パターン(遺伝子の転写量の変化)について、遺伝子およびタンパク質レベルでさらに詳細に調べることを目的とした。微好気条件下における微生物の挙動については、Mycobacteriumなど体内の低酸素環境で生育する病原微生物において興味が持たれているが、酸素濃度の変動、特に、ゼロ/サムではない連続的な変動に対する微生物の挙動については特に研究対象とされていない。自然界には実験室で作り出されるような完全な好気的環境が常に存在するわけではなく、「嫌気的な環境」と「それ以外」があると考えられるため、後者の様々な微好気的な条件下での微生物の挙動について、引き続き研究を継続する意義があると考えている。今後は安定した微好気条件下での培養法を確立し、遺伝子およびタンパク質レベルでの諸酵素の調節について解析を続けることとする。昨年度の発見を最終的に論文にまとめたあと、新たな研究課題を提案する。
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Environmental Microbiology 10
ページ: 1547-1556
http://www.kyotogakuen.ac.jp/~microbio/