研究概要 |
院内感染が起こる病院内では,多種多様の抗生物質,化学薬品や消毒薬が使用されているので,病院内に存在する細菌も抗生物質・その他の薬剤に対して耐性を獲得していると考えられる.またBacillus属などの細菌は胞子形成を行う胞子形成細菌であり,胞子の状態になると消毒薬などに対して耐性を示すので,衛生面において大きな問題となる.特に,病原性を持つB.cereusグループの細菌およびその近縁種は遺伝的に近く,16S rRNA遺伝子系統解析だけでは分類するのが困難である.しかしながらrandom amplified polymorphic DNA(RAPD)-PCR法によりB.cereusグループの細菌を分類することが可能になった.また病原性に関与する,cytotoxin K, enterotoxin, hemolysin, non-hemolytic enterotoxin, phospholipase C, sphingomyeline phosphodiesteraseの遺伝子に対して,保存された配列を用いることにより特異的なプライマーを構築した.そのプライマーによるPCRにより,病原性があることが報告されていなかったB.cereusグループに属するB.thuringensis, B. mycoides, B. pseudomycoides, B. weihenstephaensisにおいて,病原性に関与する遺伝子を保持していることが明らかとなった.
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