研究概要 |
本研究課題では、自然環境中の微生物の生物活性を細胞レベルで検出する系を確立し、生物活性から環境中での役割や微生物間の相互作用を解明することを目指した。 窒素固定活性は他の利用可能な窒素源の存在等により活性が抑制されるので、窒素の取り込みが効率的に行われるシロアリの飼育条件等について検討した。営巣している木材から取ったシロアリと、その後濾紙で飼育したシロアリのアセチレン還元活性を比較した所、数日間の濾紙による飼育で2~4倍程度活性の上昇が見られた。次に、これらのシロアリサンプルから共生微生物が生息している後腸を取り出し、昨年度条件検討を行った窒素固定活性測定用緩衝液にてアセチレン還元活性及び、窒素取り込み活性を測定した。窒素取り込み活性は、気相を15Nで置換して反応させた後、遠心分離で回収した細胞の安定同位体自然存在比を質量分析で測定することで評価した。窒素の取り込み量は濾紙で飼育したシロアリサンプルを用いた方が多く、アセチレン還元活性と比例していた。また、遠心分離で細胞を分画し、窒素取込み活性を測定した所、細胞の画分ごとに活性に違いが見られた。このことから、特定の微生物種が窒素を取込み同化しているものと推定された。 Cs+イオンをサンプルに照射し、2次イオン質量分析計で元素分析を行った。検出器の感度やスリット幅を調整し、ある程度の大きさの細胞を用いることで12Cl4N, 12Cl5N等の各cyanide ionの検出・分離が可能であった。
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