Burkholderia cepacia 由来リパーゼの 3-Phenylbutyric acid に対する光学選択性を熱力学的、構造学的に解析するために、まず、野生型の Burkholderia cepacia 由来リパーゼおよび、光学選択性の改変された 4重変異体4種類の大量生産系構築を行った。リパーゼ欠損変異 Burkholderia cepaciaを用いた分泌発現系を構築し、オレイン酸を発現誘導体として分泌発現を行い、1 リットルの培養液当たり 233mg以上の組換えリパーゼの発現が確認された。本培養液中に含まれるタンパク質を陰イオン交換クロマトグラフィー及び疎水性カラムクロマトグラフイーに供して精製した。 pnitrophenyl butyrate の分解活性で精製酵素の直鎖状エステルに対する酵素活性を評価し、変異導入によって比活性が時下していない事を確かめた。また、本リパーゼの光学選択性を評価するための基質として 3-Phenylbutyric acid のエステルを合成し、キラルカラムクロマトグラフィーによる分離条件、及び各 3-Phenylbutyric acid エナンチオマーの溶出時間を決定した。ラセミックな基質を精製したそれぞれの酵素で反応し、その分解産物中に含まれる光学異性体をキラルカラムにより定量し、光学選択性を評価する方法を確立した。 精製酵素を用いて結晶化実験を行い、20-30%のイソプロパノールを共沈剤として用いた条件で針状結晶がえられ、X線回折データの取得を行った。得られたX線回折データを解析したが、十分な回折点の強度が得られず構造決定にはいたらなかった。良質な結晶が得られない理由として培地成分中の低分子化合物の混入が考えられたので、分子量の差を利用した分離法で高純度精製を行うことに成功した。
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