研究概要 |
骨形成および骨代謝にcGMPシグナリングが重要な役割を果たしていることが知られている。本研究では、cGMP結合タンパク質であるcGKIIおよびcGKIの情報伝達系の解明を試み、以下の成果を得た。 1. 酵母two-hybrid法によって、cGKIIと特異的に相互作用するタンパク質として小胞輸送制御因子Rab11を同定した(Yuasa, et.al., BBRC 2008)。cGKII-Rab11複合体はcGMP依存的に中心小体から細胞膜へと移行することから、cGKIIの未だ同定されていない基質が細胞内輸送を制御していることが考えられ、現在、細胞内輸送に関わるcGKII基質の同定を試みている。 2. cGKIα結合タンパク質としてrhoエフェクタータンパク質であるrhotekinを同定した。cGKIαとrhotekinの特異的な結合は、cGMPによるcGKIαの活性化に伴って解離することが明らかとなった。また、cGKIαはrhotekinの92番目Serを特異的にリン酸化したことから、現在、そのリン酸化の生理意義について解析中である。 3. cGKIの候補基質としてcyclin-dependent protein kinase(CDK)ファミリーに属するPCTAIRE protein kinase 3(PCTK 3)およびアポトーシスに関わるdeath-assosiated protein kinase(DAP kinase)を同定した。部位特異的変異導入実験によってcGKIαはPCTK 3の12番目Serを特異的にリン酸化することが明らかとなった。現在、DAP kinaseについてリン酸化実験を行うとともに、PCTK 3についてリン酸化によるkinase活性や細胞内局在の変動などについて解析中である。 4. マウスcGKIIプロモーターの-292/-286領域に成熟軟骨細胞特異的転写因子が結合し、軟骨分化におけるcGKIIの発現を制御することが明らかとなった。この転写因子としてホメオボックス遺伝子Nkxファミリーが考えられた(論文投稿中)。
|