研究概要 |
1. 細胞膜透過性タグ融合SOCSおよび癌抑制タンパク質発現系の確立 細胞膜透過性タグ融合SOCSファミリーとRARαタンパク質の発現系確立を試みた。SOCS2, 3とRARαについては完全精製し、リフォールディング系の確立も行なった。産生タンパク質は、細胞内導入を確認後、実際に細胞内で機能するかの確認を各種アッセイ系により行った。この結果、細胞膜透過性SOCS2は成長ホルモンレセプターと相互作用し、細胞増殖抑制が可能であることが判明した。細胞膜透過性SOCS3はJAK-STATシグナル伝達系を抑制可能であることが判明した。細胞膜透過性RARαはPML/mR融合遺伝子を持つ白血病患者由来の白血病細胞を顆粒球(好中球)へ分化可能であることが判明した。今後これらは癌抑制剤、過剰成長阻害剤、抗アレルギー剤への応用が期待される。以上の結果は、SOCS2は日本農芸化学会で報告した。また、RARαは特許出願し、日本農芸化学会で報告した。 2. 新規SOCS3, 7相互作用因子の検索 SOCS3相互作用因子をMALDI-TOF-MSにて解析し、SOCS7相互作用因子を酵母Two-hybridスクリーニングで検索した。現在、これらの詳細な機構を解明中である。 3. SOCS3とDP-1の相互作用の解析 SOCS3とDP-1との相互作用について詳細に解析した。SOCS3欠失変異体を用いた免疫沈降法にて相互作用領域を決定した。JAK-STAT系およびE2F/DP-1におけるSOCS3とDP-1相互作用の影響を解析した。以上の結果はJBC誌に報告した。 4. DP-1アイソフォームの分解機構の解明 本研究室で発見したDP-1アイソフォームDP-1αβの分解様式をウエスタンブロットにより解析した。この結果、DP-1内の分解促進と抑制領域を発見した。これらの結果は、日本分子生物学会、日本農芸化学会で報告した。
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