オワンクラゲ発光タンパク(イクオリン)とアジド化セレンテラジンを用いて光照射を行った。電気泳動装置と高分解能緩衝液を組み合わせて、分子量数百の差をゲル上で確認しようと試みたが、光照射前後における有意な差は観測されなかった。そこで、光照射したイクオリンを電気泳動したのち、イクオリン部分を切り出し、ゲル内消化酵素でペプチド断片へと分解した。得られた試料をナノLC-Q-TOF型・イオントラップ型質量分析装置で解析した。その結果、セレンテラジン近傍のアミノ酸が酸化修飾を受けていることが判明した。非照射のイクオリンも同一条件で解析し、光照射に依存した酸化修飾であることを確認した。すでに報告されているイクオリンのアミノ酸配列をもとに、トリプシン消化のペプチドマップを作製して解析を進めた。イクオリンの過酸化物の周辺が特に酸化修飾を受けていることを確認した。アジド基を用いて修飾する予定であったが、過酸化物中間体による部位特異的酸化修飾が可能となった。イクオリンで一連の解析が終了したので、同じ手法を用いて、トビイカ発光タンパク(シンプレクチン)に適用し、発光前後における活性部位の動的解析を現在検討している。
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