• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2008 年度 実績報告書

北東アジアにおける寒温帯性針葉樹種の系統地理学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 19780111
研究機関宇都宮大学

研究代表者

逢沢 峰昭  宇都宮大学, 農学部, 助教 (70436294)

キーワードチョウセンゴヨウ / ミトコンドリアDNA / 系統地理 / 北東アジア / 寒温帯 / マツ科 / 分布変遷
研究概要

本年度は、北東アジアの冷温帯から亜寒帯に広域的に分布するチョウセンゴヨウ(Pinus koraiensis)を対象として、マツ科では母性遺伝するミトコンドリア(mtDNA)の遺伝解析を行い、大陸ではその分布域がどのように変化し、日本の集団がどのように大陸から移住してきたのかを推論することを目的として研究を行った。遺伝解析試料として、本種の分布域を広く網羅するように、ロシア3集団、中国5集団、韓国3集団、日本5集団の種子あるいは針葉を用いた。これらの試料から全DNAを抽出し、5つのmtDNA領域についてダイレクトシーケンス法により塩基配列を決定し、mtDNAハプロタイプの決定とハプロタイプ間の系統的関係の推定を行った。その結果、4つのmtDNAハプロタイプが得られた。すなわち、大陸の集団にみられるI型、西岳を除く本州・四国の集団にみられるII型、御嶽山集団の一部にみられるIII型、および西岳集団のIV型である。御嶽山集団を除いて集団内変異はみられなかった。本種が大陸部では広域的に優占分布するにも拘らず単一のハプロタイプを保持していたことから、大陸集団は単一のレフュージアから広がったことが示唆された。一方、日本国内の集団の由来については2つのシナリオが考えられた。1つは、ハプロタイプ間の系統的関係から、日本の集団が大陸からの隔離によって遺伝的に分化した後に、日本国内でさらに2つのハプロタイプが派生したというシナリオである。2つ目は、本州に複数のハプロタイプが存在すること、本州では更新世を通して大型化石遺体が多産することから、本種の分布中心はかつて本州にあり、その後一部の集団は大陸に移住し、国内では各山岳地帯への隔離・小集団化により、特定のハプロタイプに固定された集団が生じたというシナリオである。葉緑体DNAは、時間の都合上、十分な解析が行えなかったため、今後の課題となった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Imprint of post-glacial history in a narrowly-distributed endemic spruce in central Japan, Picea alcoquiana, observed in nuclear microsatellites and organelle DNA markers2008

    • 著者名/発表者名
      Aizawa, M., Yoshimaru, Katsuki, T. & Kaji, M.
    • 雑誌名

      Journal of Biogeography 35

      ページ: 1295-1307

    • 査読あり
  • [学会発表] 北東アジアにおけるチョウセンゴヨウの遺伝的変異2009

    • 著者名/発表者名
      逢沢峰昭・金眞水・吉丸博志
    • 学会等名
      第120回日本森林学会大会
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      2009-03-16

URL: 

公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi