研究概要 |
現在, 林業従事者の減少や木材価格の低迷等による林業の不振によって, 間伐が十分に実施されていない。国では間伐等促進法によって間伐を奨励しているが, この法律を効果的に実現していくには間伐が必要な林分がどこにあるか把握することが必要になってくる。そこで, 衛星画像を利用して間伐が必要な林分を把握するのが有効である。しかし, 画像上で間伐が必要な林分を知るには, 間伐が既に実施された林分との違いを知ることが重要である。本研究では, 2時期のSPOT5パンクロマチック画像を用いることによって, 間伐実施済み林分を把握できるか検討することを目的とした。 2時期のSPOT5パンクロマチック画像(2005, 2006年観測)を組み合わせて, 間伐実施林分と無間伐林分を対象に各種特徴量(輝度値, 2時期画像演算, 主成分分析, テクスチャ特徴量)の比較を行った。その結果, 今回のデータセットでは間伐の実施の有無を識別できる有用な特徴量を発見することはできなかった。今回解析対象地にした山北町では定性間伐が行われている。本数間伐率は30%であるが, 列状間伐のようにはっきりと画像上で変化を見ることができず, 今回の研究の結果に影響を及ぼした可能性がある。変動係数において, ほとんど差が生じなかったことから, 間伐林分も無間伐林分も相対的なばらつきがほぼ同じであり, 今回用いた手法では差を抽出するのは難しいと考えられた。 今回, SPOT5パンクロマチック画像によって, 間伐林分と無間伐林分の差異をうまく捉えることができなかった。今後の研究では, マルチスペクトル画像を使うことによって間伐林分と無間伐林分の差異を捉えることができるか検討する必要がある。解像度が低くても, マルチスペクトル画像を使用することによって間伐林分を把握できるのかもしれない。また, 今後は, 列状間伐が行われている他の地域も解析を行い, 間伐の方法によって各種特徴量に違いが見られるのか検討していきたい。
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