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2010 年度 実績報告書

ソース・シンクモデルによるヒグマ個体群の構造・遺伝子流動の解明と被害管理への応用

研究課題

研究課題/領域番号 19780122
研究機関日本大学

研究代表者

佐藤 喜和  日本大学, 生物資源科学部, 講師 (60366622)

キーワードヒグマ / 個体群構造 / 遺伝子流動 / 生息密度 / 性比 / 遺伝的多様性 / 移動・分散 / ヘア・トラップ
研究概要

ヒグマ個体群の遺伝的空間構造の解明とその被害管理への応用を目的に,北海道東部白糠丘陵地域のヒグマ個体群を対象とし,分布中心で繁殖による新規補充が死亡を上回るsource like地域として白糠町北部集団(SN)を,分布周縁で繁殖数を死亡数が上回るsink like地域として浦幌町集団(UH)を想定し,両地域間の生息密度,食性,個体の移動,遺伝的多様性,集団間の遺伝子流動について検討した.
今年度は,これまでに得られた成果をもとに学会発表および論文執筆を進めた.両地域間の個体の移動については,メスのmtDNAハプロタイプの異所的分布をもとにオスの出生地と駆除による死亡地点を見分ける方法により,source like地域からsink like地域へオス成獣が多く移動していることがわかった。その理由として,分布周縁部のsink like地域には,分布中心部のsource like地域よりも農作物やシカの死体等質の高い採食資源が分布し,かつ高い駆除圧により競争相手が少ないことが考えられた。その結果,分布周縁部は質の高い資源を利用可能であるが,駆除による死亡率が高いというattractive sink like地域,分布中心部は駆除による死亡率は低いが相対的な採食資源の質は低いrefuge like地域になっており,箱ワナを用いた駆除が,分布中心から周縁に向けた適応的でない移動分散を促している可能性が示唆された。このことは,駆除を続けても分布中心部からの移動分散が続くことを意味し,被害が減少したときには地域個体群の存続が危うくなっているという危険を示唆している。適切な被害管理のためには無差別な駆除の見直しと分布周縁部の資源価値を相対的に低くする必要がある。この成果は現在学術雑誌に投稿,査読後の修正中である。マイクロサテライト解析による繁殖実態の解析,生息密度と食性の比較とについては投稿準備中である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011 2010

すべて 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [学会発表] マイクロサテライト解析を用いたヒグマの北海道東部個体群の遺伝的構造2011

    • 著者名/発表者名
      伊藤哲治・釣賀一二三・間野勉・小平真佐夫・山中正実・葛西真輔・増田隆一・小林喬子・佐藤喜和
    • 学会等名
      第58回日本生態学会札幌大会
    • 発表場所
      札幌,北海道
    • 年月日
      2011-03-10
  • [学会発表] ヒグマによる農作物への食害とその発生要因:富良野市および浦幌町における事例から2011

    • 著者名/発表者名
      佐藤喜和
    • 学会等名
      第58回日本生態学会札幌大会
    • 発表場所
      札幌,北海道
    • 年月日
      2011-03-08
  • [学会発表] Reproductive dispersal for brown bears in Urahoro and adjacent areas, southwestern part of the Akan-Shiranuka region in eastern Hokkaido inferred from genetic analysis2010

    • 著者名/発表者名
      Itoh, T., Nakamura, H., Kobayashi, K., Mano, T., Sato, Y.
    • 学会等名
      19th International Conference on Bear Research and Management
    • 発表場所
      Tbilisi, Georgea
    • 年月日
      2010-05-18
  • [図書] 日本のクマーヒグマとツキノワグマの生物学2010

    • 著者名/発表者名
      坪田敏男・山崎晃司・佐藤喜和, ほか
    • 総ページ数
      370
    • 出版者
      東京大学出版会

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公開日: 2012-07-19  

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