アカマツ天然集団において、花粉飛散と種子散布の両者を介した遺伝子流動やその遺伝的寄与を把握するため、平成15年~平成19年の5年間で採取された自然散布種子(計1,709種子)を対象に、胚と雌性配偶体(種子親由来の半数体組織)の組織別にDNA分析を行い、花粉親及び種子親由来の両配偶子の遺伝的構成を正確に区別して評価した。主座標分析の結果、配偶子は由来親間で大きく分かれて分布し、それぞれが異なる遺伝的構成を有することが示唆されたことから、当該集団の種子散布段階における遺伝的多様性には、配偶子の遺伝的構成の由来親間での異質性が大きく寄与している可能性が考えられた。
|