1. 抽出成分を除いたコルクガシ外樹皮粉に塩基性メタノリシス処理を行い、分解物の分析を行った。この反応物を中圧カラムクロマトグラフィー、Sep-Pak、TLC及びHPLCで分離・精製し、主要成分をNMR及びMSにより構造解析した。メタノリシス生成物から、フェルラ酸メチル、フェルロイルオキシ脂肪酸メチルを単離・同定した。また、強い蛍光を発するフェルラ酸二量体と予想される物質を単離した。外樹皮コルク質は紫外線を照射すると強い蛍光が観察されることから、この物質の解明は樹皮に特異的に含まれるスベリンの化学構造の解明につながると考えている。 2. 樹皮ペルオキシダーゼ活性の生化学的緒性質を調べるために、樹皮粗酵素のNative PAGEを行い、ペルオキシダーゼ活性のグアイアコールによる染色を行なった。この結果、5つのペルオキシダーゼ活性を示すバンドが認められた。このことから、樹皮ペルオキシダーゼには少なくとも5種のアイソザイムが含まれることが分かった。また、これら樹皮ペルオキシダーゼの至適pHは4-6であり、4-23℃までは酵素活性はほとんど低下しないことが分かった。今後、これらのアイソザイムのクローニングを行なう。 3. フィーデング実験 : ^<14>Cで標識したp-ヒドロキシケイヒ酸をアベマキ若枝に投与した。現在、この基質がスベリン芳香族部分にどのように取り込まれるのかについて分析を進めている。また、他の基質を用いたフィーデング実験も行っている。
|