1. メタノリシス生成物の分析:アベマキ及びコルクガシ外樹皮は、ソックスレー抽出器を用いて抽出成分を除去し、塩基性メタノリシスを行った。メタノリシス生成物を各種クロマトグラフィーにより分離・精製し、NMRにより構造解析を行い、コルクガシ外樹皮のメタノリシス生成物からフェルラ酸メチル、フェルロイルオキシ脂肪酸メチルを単離・同定した。 2. 前駆体重合物の分析:フェルラ酸と16-ヒドロキシヘキサデカン酸をp-トルエンスルホン酸とDCCを用いてエステル化した。生成物はシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、16-0-フェルロイルオキシヘキサデカン酸を得た。これを西洋ワサビペルオキシダーゼと過酸化水素により重合させた。得られた重合物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分画し、NMRにより構造解析をおこなったところ、8-5'フェニルクマラン型と5-0-4'型二量体、および縮合型三量体フェルラ酸重合物を単離・同定した。 3. 固体13CNMR及びFT-IRによる解析:スベリン芳香族部分の構造を直接的に解析するために、アベマキ脱脂外樹皮粉を遊星型ボールミルで微粉砕し、その細胞壁多糖類を酵素分解し、メタノリシス処理で脂肪族部分を分解後、固体13C NMR及びFT-IR測定した。酵素処理によって分解させなかった多糖類由来のピークがメタノリシス処理により消失したことから、外樹皮中で多糖類は、スベリン・リグニンの芳香族部分に結合しているものよりスベリンの脂肪族部分に結合しているものの方が多いと推定した。
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