研究概要 |
正方形断面の試験体の下面全体を装置に接触させ, 片端を完全に固定し, もう片端の上面は自由な状態にした。その上面の角の位置に荷重計を接触させた。このようにして装置に試験体を設置し, 温度115℃, 圧力1.25気圧(相対湿度75%)の条件で断面が約110mm×110mm, 長さ1000mmの寸法のカラマツ心持ち生材を乾燥させ, 荷重出力を記録した。同時に小口および表面から約50mmの位置の材内部の温度も計測した。また, 乾燥過程における重量をリアルタイム測定し, 重量が安定したときに試験を終了した。そして, 強度特性を求めるために縦振動を行い, 色彩試験を行った。昨年度, 材温が設定温度に到達し安定したときに荷重も安定するという当初予想した傾向ではなく, 荷重が安定した, すなわち変形が終了したのは材温が設定温度で安定してから長時間経ってからであったという特徴的な傾向を今後の課題としていたが, それはカラマツの繊維傾斜角が髄付近で大きく樹皮側で小さいことによると考えられた。一方, ヒバ材は乾燥初期で捩れると言われているが, 同様な考察を行うと, ヒバの繊維傾斜角が髄付近で小さく樹皮側で大きいためと類推された。このことは更に実験を行い実証する必要がある。ヤング率は人工乾燥された材の方が温度20℃, 相対湿度65%で調湿された材よりも約34%大きかった。色彩に関しては, L^*a^*b^*表色系で表すと, 人工乾燥された材は(19.7, 14.0, 17.7)であった。それに対して温度20℃, 相対湿度65%で調湿された材は(26.6, 21.7, 22.1)で, 色差が11.2であったため両者には, 「きわめて著しく異なる」差が認められた。
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