本研究は、「ITQ制度におけるレントの配分と漁業参入制限への影響」と題し、レントに焦点をあて、レントの回収と参入制限に対する理論と実態の乖離、レントの漁業管理費用に対する補填可能性、レントの裏付けとなる市場価値が資源保全性に与える影響、という三つの課題を設定した。その結果、政府による漁獲割当保有者からの徴収名目は、レントの回収のみならず、漁獲割当の権利内容に影響を受けていたこと、管理費用の補填可能性では市場価値の高い一部の魚種・ストックに依存していたこと、輸出単価に対する超過漁獲の罰金水準が低ければ、超過漁獲への抑制が低下したことがわかった。
|