研究概要 |
二枚貝平滑筋の張力維持におけるミオシン,アクチンおよびトゥイッチンの役割を解析するために,3者の複合体形成機序について解析した。トゥイッチンのD2リン酸化部位を含む領域を大腸菌で発現させたTWD2-Sとミオシンのループ2領域の配列を元に作製したペプチド(ループ2ペプチド)を等温滴定カロリメトリー(ITC)測定したところ,両者が結合することが確認された。同じ実験をアクチンのトゥイッチン結合領域の配列を有するペプチド(アクチンペプチド)に対して行ったところ,同様に両者は結合することがわかった。ミオシン・アクチン・トゥイッチン複合体にループ2ペプチドを加えたところ複合体からミオシンが解離した。アクチンペプチドを加えた場合はアクチンが複合体から解離した。以上の結果から,ミオシン・アクチン・トゥイッチン複合体の結合部位が同定された。本研究により,キャッチ収縮の張力維持にミオシン頭部とアクチンが関与することが明らかとなり,長い間不明であった張力維持機構の一端が解明された。現在この複合体をより詳細に解析するために結晶化するための実験を行っている。また,ムラサキイガイキャッチ筋から単一筋細胞を単離した。単離した筋細胞はアセチルコリンにより収縮したことから生理活性を保持していることが分かった。この単一細胞を種々の条件下で収縮させることで,キャッチ収縮機構を生理条件下で分子レベルでの解析が行えるようになった。
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