エビやカニなどの甲殻類などに多く含有されるキチンは、セルロースに次ぐ莫大なバイオマスであるのに加え、キチンを分解して得られるオリゴ糖や多糖類は様々な生理活性をもつことから幅広く利用されているが、その分解時に大量に生じる廃液の処理などの問題が残され、効率の良い分解法が求められている。本研究では、これまでに一次構造を明らかにしているα型結晶キチンを速やかに分解する海洋細菌Vibrio proteolyticus由来キチナーゼのリコンビナントタンパク質を大腸菌で発現させて精製し、比活性の測定を行うとともに、V.proteolyticus由来キチナーゼおよびそのリコンビナントタンパク質が糖鎖修飾されているか否かレクチンブロッティングにより調べた。その結果、当該リコンビナントタンパク質は、α型結晶キチンに対する高い比活性を有するとともに、V.proteolyticus由来キチナーゼおよびそのリコンビナントタンパク質は、WGAを用いるレクチンブロッティングにより陽性反応を示した。この際、陽性対照として用いたヒトトランスフェリンでは陽性反応が得られたのに対し、陰性対照として用いたウシ血清アルブミンでは陽性反応は認められなかった。以上の結果は、V.proteolyticus由来キチナーゼおよびそのリコンビナントタンパク質が糖鎖修飾されている可能性を示唆する。
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