研究課題
「地域営農システムの形成と農協組織・事業の再編」に関する調査研究を実施した。農政用語でいう「集落営農」は現実には地域営農システムの形成を指す。「担い手」と「集落営農」は別個に存在するものではなく、農村コミュニティーの諸活動において、あるいは事業・組織補完的な存在として存立する。福島県南会津地域(集落統治型農村コミュニティー)の調査結果では、集落営農は地縁型共同体を基盤に形成されていた。しかし「経営体」として成り立つためには、目的型の産業組織として機能する必要がある。これに関して、北海道日高地域(産業統治型農村コミュニティー)の調査研究では、企業体としての「産業の担い手」機能が必要となり、両者を包括した地域営農システムの形成が求められることが示された。「産業の担い手」としては、(1)内部主体、(2)外部資本、(3)協同組合資本が考えられるが、これらを「地域の担い手」として融合させるには、(3)タイプへの接近が有効である。その意味において、システム形成に関しては、農協の役割が求められるが、課題も多い。これまでのように、組織基盤は既存の集落、事業基盤は新たな担い手という分離した農協運営構造のままでは今後成り立ち得ない。「産業の担い手」は、事業利用を重視するユーザーシップ型の目的型組織を志向しており、これらを新たな意思反映ルートとして、組織・事業基盤として組み込まなければ農協の存在意義が消失する。ここでは、農村コミュニティーの再生と地域農業振興を可能とする地域営農システムのあり方を農協組織・事業の再編という視点から明らかにした。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)
東北農業経済研究 第25巻1号
ページ: 17-26
Jounal of Commerce, Economics and Economic Hi story Vol.75,No.4
ページ: 33-48
ThinkTank Fukushima MEWSLETTER No.38
ページ: 20-23