「農村コミュニティー類型別にみた農業協同組合の統治形態」に関する研究を実施した。農村コミュニティーは担い手・農地の賦在状況、偏在状況によって大きく異なる。コミュニティー再生条件、地域営農システム形成条件も同様である。そこで、担い手の活性度すなわち目的型組織の形成度合いに応じた地域類型区分を行い、類型ごとに農村コミュニティーの再生方策と農業協同組合の統治形態を明らかにした。具体的には、農村コミュニティー構造(産業の担い手形態)の相違による地域営農システムの構築とそれに対応した協同組合の統治形態(所有構造)および運営体制(理事構成と総会機能)・事業体制との関連を明らかにした。 農村コミュニティー類型に関しては、A : 内部主体的に形成された担い手統治型、B : 外部資本との結合による産業統治型、C : 協同組合資本による集落統治型の3つの類型区分を行っている。A : 担い手統治型では、農村内部に主体的に形成された企業経営が組合員の中核を占めている。ここでは出資と利用を単年度的に結びつけるユーザーシップ型の集出荷組織としてニュージーランドのキウイ生産組合の調査を実施した。C : 集落統治型では多様な地域主体を内包した地域経営に関しては東北地域・中山間地帯の農村と農協を分析対象とし実態調査およびドイツ・エアフルトにおける地場産業(捺染業)と地域農業・住民参画型地域振興に関する調査を実施した。
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