「農村コミュニティー類型別にみた農業協同組合の統治形態」に関する研究を実施した。3年間の調査・分析結果に基づき、既存の地縁型共同体と担い手政策推進の中で形成される目的型組織を結合させた農村コミュニティーの再生方策としての地域営農システムの構築とそれを基盤とした農協統治のあり方を提示した。各小課題の研究成果は、研究期間を通して、国内外の学会で口頭報告を行うとともに、学会誌へ投稿して公表した。 農村コミュニティーは担い手・農地の賦在状況、偏在状況によって大きく異なる。コミュニティー再生条件、地域営農システム形成条件も同様である。そこで、担い手の活性度すなわち目的型組織の形成度合いに応じた地域類型区分を行い、類型ごとに農村コミュニティーの再生方策と農業協同組合の統治形態を明らかにした。具体的には、農村コミュニティー構造(産業の担い手形態)の相違による地域営農システムの構築とそれに対応した協同組合の統治形態(所有構造)および運営体制(理事構成と総会機能)・事業体制との関連を明らかにした。 農村コミュニティー類型に関しては、A:内部主体的に形成された担い手統治型、B:外部資本との結合による産業統治型、C:協同組合資本による集落統治型の3つの類型区分を行っている。C:集落統治型では多様な地域主体を内包しだ地域経営に関しては、ドイツバルトキルヒのマルクトの取り組みとスローシティー活動に関わる地域コミュニティーの関係性について調査研究を行ない、日本・東北の農村における農商工連携と協同組合間協同のあり方について検討をおこなった。
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