本研究は、日本における条件不利地域漁業の実態から問題構造を分析し、当該漁業の今後の発展方向とそれを実現するための政策課題・施策手法について明らかにすることを目的としている。なお、本研究で対象とする条件不利地域漁業は、離島漁業(流通条件不利・労働力条件不利)、内水面漁業(自然条件不利・市場条件不利)、干潟漁業(自然条件不利)の3つである。これらの漁業は、条件不利が起因となり、漁業者の高齢化と減少といった漁業生産力が減退しており、自然を資源化する機能が脆弱化していることを明らかにした。また、これらの漁業は、地域社会・地域経済との結びつきが強いため、漁業衰退がそのまま地域社会・経済の衰退に結びついていることを明らかにし、それへの政策対応とその課題について検討した。
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