図書、報告書、各種資料などを収集し、他産業で行われている環境会計についての把握分析を行った。その結果、:環境会計には内部環境会計と外部環境会計があり、外部環境会計でなければ小規模経営に適応が著しく困難であることがわかった。したがって、本課題で行う環境会計の対象を外部環境会計へと絞った。 300件の中小企業に対してアンケート調査を行い、環境会計に関する理解度や実施などについての現状を調査した。また、既存研究をレビューし、環境会計を実践している農業を調査した事例がないことを発見した。そのため、実1際に環境配慮型の経営が行われている農業経営を調査し、環境会計に必要な具体的なデータを取得した。データ取得後に、環境省が公表した2005年度版の環境会計ガイドラインに沿って環境会計を実践し、農業分野においてもデータの取得を行うことができれば、環境会計の導入が可能であることを実証した。 しかしながら、環境会計の実践には特定のデータが必要であるが、ほとんどの農家がそのデータを取得していない。そのため、必要なデータを補完するものとして、技術体系DBや農薬適正使用旧定サーバシステムのデータベース利用が図れないか、中央農業研究センターの協力を得て検討した。またデータを蝉茸に取得するために、ICタグの利用かできないか調査した。その結果、実データが不足した場合の補完データとして、技術体系DB、農薬適正使用判定サーバシステムより得られるデータなどが、環境会計を行うにあたって有意義であることが判明した。同時にICタグによる実データ取得の可能性も高まった。 一方で、すでに開発した農業経営システムの運用保守を行いながら、環境会計の要素を取り入れることができるように、システムのデータ設計などについて改良を加えた。
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