研究概要 |
平成20年度は、計画に基づき以下の事柄を実施した。 1 地域水田農業の構造変動予測モデルの構築に向けて、まず、(1)経営面積の拡大志向を持たず、年齢に応じて徐々に農業生産からの撤退行動をとる農業者、(2)米価等の下落傾向を鑑みて農業生産からの撤退行動をとる農業者、(3)農業所得の最大化を目指して合理的な農業生産を図り,また地域水田農業において中心的な担い手となる農業者、の三つの農業者行動を想定した。次に、農業者行動別に、経営拡大志向や耕作面積の決定などに関する詳細な行動仮説を設定した上で、その行動仮説に即した行動予測モデルを構築した。さらに、それらの個々の農業者の行動予測モデルのシミュレーション結果を積み上げる方法によって地域水田農業全体の構造を予測できるモデルを構築した。 2 上記の構造変動手法を用いて、地域水田農業構造をシミュレートすることによって、地域水田農業構造として担い手数、作物別の作付面積、不耕作面積、担い手の集積面積等が予測可能となる。また、米価などの将来の与件変化のシナリオ分析を組み合わせることによって、それらが地域農業構造へ与える影響の分析や、それへの対応に向けた検討への活用が期待できる。 3 ただし、本研究で構築した構造変動手法を利用するには、各種の専門的な知識が必要なため、誰もが容易に利用できる手法とは言い難い。そのため、今後は、必要なデータの設定と簡便な操作のみよって所定のシミュレーション結果を導出する仕組みを構築していく予定である。
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