平成19年度においては、東アジア型GTの実現に向けた地域システムの計両手法の構築のために、以下の3点を実施した。 (1)海外研究協力者(宋研究員)と国内研究協力者(劉鶴烈氏)から提供された韓国のGTに関連する文献・資料を基に、韓国におけるGT推進のための政府や自治体の支援制度・体制(一社一村運動、事務長制度など)を整理した。また、地域システムの基礎となる集落組織の実態と特徴を日本の集落組織と比較しながら把握した。 (2)韓国のGT先進事例地である土雇米集落(江原道華川郡)において、国内研究協力者(尹起詰氏)の協力(通訳)を得て、対面式アンケート調査によりa.「集落組織構造の把握」、b.「地域システムの起動・継続要因分析」に関するヒアリング調査を実施した。また、研究代表者が学位論文で開発した「都市農村交流による農村地域活性化の評価手法」を適用して、「GTの地域への効果・持続性診断」(計画プロセスにおける合意形成に対する評価、地域に及ぼす経済・社会・環境的効果など)を行なった。 (3)日本国内のGT先進事例地である、「新治村農村公園」(群馬県)と「なべくら高原森の家」(長野県)の地域システムの変容プロセスについて解明した。これにより、地域システムの計画論的視点から、国内でGT活動の持続性の確保に問題を抱えている地域に敷衍できる論理を構築(平成20年度)するための基礎的知見を得ることができた。 以上の研究を遂行したことで、本研究の目的のうち、「日韓GT活動の成果と課題の体系的整理」と「今後、日韓共通で適用可能なによる農業・農村振興に関する論理や仕組みの析出」に関する基礎データを得ることができた。
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