研究概要 |
本研究は、推定地点とアメダスポイントにおける短期間の気温観測値、および気象庁が発信するメソ数値予報モデルの気象データ(GPV)からアメダスポイントの気温に準じた気温推定を可能とする、新しい地上気温推定法の開発を目的としている。 本研究を遂行するには、現地気温観測が不可欠であるが、既存の定点観測装置は、強制通風が不可能なため弱風時の誤差が大きく、日値の解析に用いることは困難であった。そこで、太陽電池パネルとファン、蓄電池からなる市販の換気扇(SolarVENT 24AE, IPC社)を取り付けた筒内に、小型の温度計を設置する新しい気温観測装置を開発し、その性能を評価した。気温観測装置の性能は、電源による強制通風ファンをもつ、市販の通風式白金抵抗温度計(Pt100Ω 4線式、英弘精機)との測定差を比較することで評価した。観測期間は、2007年6、10、11月の3ヶ月間で、5分毎の測定値の1時間平均値を用いた。精度を評価した結果、本観測装置は、放射冷却強度の強い条件下で測定差が大きくなる場合があるが、電源をともなうファンで強制通風される白金抵抗温度計との測定差は、表2のように、±0.4℃以下と小さいことから、実用可能であると判断された。そして、本性能評価の結果は、岡山大学で開催された農業気象学会中国四国支部大会にて発表した。 現地での観測データを取得するため、広島県神石高原町の16地点と、同町内のアメダスポイント(油木)に、考案した気温観測装置を設置し観測を開始した。また、位置情報をGPSで取得することで、観測地点と地理情報とをGISで管理し、観測地点の土地利用分類を可能とした。
|